食品加工工場では、原材料の洗浄、調理、機械設備の洗浄など、さまざまな工程で多量の排水が発生します。その排水は加工する食品の種類によって特徴が異なり、肉や魚を扱う工場では油分や血液、タンパク質を多く含み、乳製品や飲料の工場では糖分や乳成分が高濃度で含まれるケースがあります。また、野菜や果物を扱う工場では、土砂や繊維質が多く混入するのも特徴です。
こうした食品加工排水は、BOD(生物化学的酸素要求量)やSS(浮遊物質)が高く、水質汚濁の原因となりやすいため、適切な処理が求められます。基本的な処理方法は、まずスクリーン処理で大きな残渣や異物を除去し、沈殿処理で固形物を分離します。その後、生物処理を行い、微生物の力で有機物を分解・低減させます。さらに、油分やリン、窒素を多く含む場合には、高度処理として吸着剤や凝集剤を用いた処理を組み合わせることもあります。
食品加工工場の排水処理で特に重要なのは、処理の安定性とコスト削減です。原材料や生産量によって排水の質が変動するため、効率的に対応できる処理技術を導入することが欠かせません。適切な排水処理は、環境保全はもちろん、工場の衛生管理や企業の信頼向上にも直結します。